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2017年4月6日
高次脳機能障害の壁

外傷や脳卒中がきっかけで発症する高次脳機能障害
「外傷や脳卒中がきっかけで発症する高次脳機能障害」

 交通事故などがきっかけで発症すると言われる「高次脳機能障害」。物忘れや注意力の低下、物事を覚えられない、意欲低下、感情的になるなど様々な症状を引き起こすとされていますが、その理解がまだ広がっていない現状があります。
 

 札幌に住む香苗さん(仮名・42)は、9年前自転車で出勤中に乗用車にはねられました。頭を地面に打ったものの、足などの打撲部位の治療をし、職場が忙しかったため無理やり仕事に復帰。しかし体調が悪くその後退職しました。
母親は「人間が180度変わってしまった」と話します。物忘れを始め、本や新聞を読めなくなり、細かいアクセサリーも作ることができなくなりました。さらに感情のコントロールも難しくなったと言います。
 
 札幌の竜治さん(18)も高次脳機能障害を抱える一人です。小学1年の時に道路を横断中に乗用車にはねられました。以来体調がすぐれず、学校にも満足に通うことができなくなりました。自分の名前も忘れ、頭痛や吐き気が襲ったといいます。
 
 この2人は何か所もの病院を巡り、様々な診断名がつきましたが、一つ「脳脊髄液減少症」という診断もつきました。これは脳の周りを満たす髄液が体内に漏れるために体調不良を起こす症状で、治療を進め治癒しましたが、症状が治まりません。さらに調べてみると「高次脳機能障害」ということが発覚しました。
事故から発覚まで平均3年ともいわれるこの障害は、「目に見えない障害」とも言われます。
見た目は普通なのに、本来社会生活で必要なことができないのです。
 

 普段の生活でさえ大変な中、司法の壁も立ちはだかります。
その一つは「診断基準のハードル」です。医学界では高次脳機能障害と診断されても、裁判上は別の基準があり、必ずしも高次脳機能障害とは認められないケースがあります。札幌地裁は、「香苗さんの障害の理由は、事故が原因ではない」などとして、訴えを棄却。札幌高裁でも厳しい判断になる見込みです。
 
竜治さんは、事故前後の変化をどう証明するかというハードルも加わります。子どもの事故の場合、事故前にどの程度できたのか、立証することが難しいのです。母親は日々変わっていく様子を見ていますが、客観的な証拠を被害者側が出さなければならないという部分に限界を感じます。
 

 長年取材をさせていただいて、何の落ち度もない被害者が、なぜここまで苦しまなければならないのか、非常に理不尽さを感じています
2人は障害者支援の事業所へ通い、社会生活を懸命に送っていますが、もらえるお金はほんのわずか。将来的に生活保護や施設への入所も考えなければならず、親の不安は尽きません。

  去年、道内で交通事故でケガをした人の数は、約1万3000人。いつ自分が事故にあうかわかりませんし、その後苦しむことになる可能性は誰にでもあります。
 高次脳機能障害というものへの社会全体の理解が広まること。切に願うばかりです。


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篠原 巨樹(しのはら なおき)
篠原 巨樹(しのはら なおき)
入社以来ニュース、情報番組、テレビセールスの仕事などいろいろな経験をしてきました。毎日多くのことが起きるニュースの現場、内心ドキドキですが皆様はどうか気楽な気持ちでご覧ください。よろしくお願いします!