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【ドラフト前夜】大船渡市取材で見えた「令和の怪物」への”愛情”と”冷淡”

2019年10月16日19:40
 北海道日本ハムファイターズがドラフト1位指名を明言している163km/h右腕、"令和の怪物"佐々木朗希投手。

 ドラフト会議まで、あと1週間となった10月10日。
 大船渡市へ向かったディレクターがテレビでは伝えられなかった取材を語る。

 「最初に会った時に子どもだった朗希が、これだけ注目を浴びるのは凄いと思いますよ」

 そう語るのは、佐々木投手が中学3年生の時に「オール気仙」で指導をしていた布田貢先生(末崎中・教諭)は、「MAX141km/hを出した。いままで見たことのない速さだった。プロ野球選手になった楽天の銀次、ヤクルトの畠山は中学時代を見たことがありますが、佐々木の方が上だと思います」
 岩手県の先輩を凌駕する、非凡な才能を見せていた佐々木投手を見てきた布田先生。
 今年の岩手大会の決勝で登板をせず敗れた佐々木投手の姿から、中学時代と重なる部分があったと言う。

 「オール気仙でマウンドを交代させた時の、なかなか降りない"嫌だ"という雰囲気。決勝戦で投げないで記者会見をした時と同じ顔だった。ピッチャーらしいピッチャーです。焦らないで、じっくり進んでいってほしいですね。」

 懐かしそうに、嬉しそうに話す布田先生。それと同時に少し表情が曇った場面があった。

 「色々と言われていて、可哀そうだった。朗希の進路が揺れ動いているのかもしれないと心配したけど、プロに行きたい気持ちを宣言してくれて安心しました。」

 そして、取材は市民に佐々木投手に関するインタビューをする、テレビ局の定番「街録」もした。

 「プロで活躍してほしい」「被災して大変な思いをした子だから頑張ってほしい」「大船渡市のスターだよ!」

 応援する声が大半の中、大船渡高校と佐々木投手を批判する人たちが一定数いたことに驚いた。

 夏の岩手県大会で佐々木投手が登板せず敗戦。
 結果、甲子園へ行けなかった起用法は大きな話題となったが、3か月前の話だ。

 「なんで決勝投げないの。みんな疑問に思っている」「プロにでも、どこでも行けばいい。佐々木には興味がない」「監督も佐々木も、チームよりプロを選んだ。仲間がかわいそうだよ」

 そういった人たちは、もちろんテレビでのインタビューは拒否されてしまう。

 中には、國保監督の采配を批判する記事のコピーを見せつけ、「これが真実なんだ」と10分以上にわたり力説する男性もいた。

 これが布田先生の話していた「色々言われて可哀そうだった」という事だと理解した。
 かつて佐々木投手を教えた先生、学校関係者、家族たちは日々このような話が聞こえてくると思うと切ない気持ちになる。

 「支えてきてくれた人たちがいるから、頑張ることができたと感じている」「これからも地元の期待に応えられるように精いっぱいプレーをしていきたい」

 プロ志望を表明した記者会見で語った17歳の佐々木投手は大船渡市への思いを語る。
 高校卒業まで、あと半年。佐々木投手への“冷淡”な声は少なくなり、応援してくれる人たちが、一人でも増えてほしい。心から、そう願う取材だった。

 (北海道文化放送ディレクター 有田 慈彦)

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